泡消火設備の消防法改正とPFAS規制

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泡消火設備を巡る「消防法改正」とPFAS規制の最新動向

現在、防災業界で最も注目されているトピックの一つが、PFAS(有機フッ素化合物)に対する規制強化と、それに伴う消防法のアップデートです。これまで高性能な消火剤として広く普及してきた「水成膜泡消火薬剤」などに含まれる一部のフッ素系化合物が、環境や人体への残留性の高さから世界的に問題視されています。

PFAS(有機フッ素化合物)に対する国内外の規制強化

欧州を中心とした「ストックホルム条約(POPs条約)」の動きに連動し、日本国内でもPFOSやPFOAといった特定のフッ素化合物の製造・使用が厳しく制限されています。さらに、PFHxS(ペルフルオロヘキサンスルホン酸)などの関連物質についても段階的に規制の網が広がっており、企業のコンプライアンス維持において「脱フッ素」は避けて通れない課題となりました。

消火設備は一度設置すると数十年単位で使用されるため、現時点で規制対象外であっても、将来的な規制拡大を見越した選定が求められます。環境負荷を低減しつつ、確実な消火能力を維持することが、現代の設備設計におけるスタンダードです。

消防法施行規則の一部改正案(2025年12月公開)の要点

2025年12月、総務省消防庁から「消防法施行規則の一部を改正する省令案等」が公表されました。この改正案の背景には、「環境への影響が少ない薬剤に切り替えたいが、設備改修の負担が大きすぎる」という現場の切実な悩みがあります。

具体的には、駐車場の泡消火設備における「放射量基準」が柔軟に見直されます。以下の表に示す通り、現行基準では薬剤の種類によって必要な放射量が固定されていました。

【現行】駐車場の泡消火設備の面積あたりの放射量
泡消火薬剤の種類 床1㎡あたりの放射量
水成膜泡消火薬剤 3.7L/min
たん白泡消火薬剤 6.5L/min
合成界面活性剤泡消火薬剤 8.0L/min

これまでのルールでは、フッ素を含む「水成膜泡消火薬剤」から他の薬剤へ変更する場合、放射量を増やすためにポンプや配管のサイズアップといった大規模な設備改修が必要でした。しかし、今回の改正(暫定)案では、試験で性能が認められれば、薬剤の種類にかかわらず「3.7L/min・㎡以上」の放射量で設置可能となります。

この改正案の施行により、既存の設備構成を最大限に活かしたまま、環境配慮型薬剤へのスムーズな移行が期待されています。なお、本特例の対象は「駐車の用に供する部分」に限定される点には注意が必要です。

法改正に伴う既存設備の維持管理と更新のリスク

法改正が進む一方で、既存のフッ素系泡消火薬剤を使い続けることには複数のリスクが伴います。特に長年メンテナンスを続けている施設では、将来的なコスト増大を考慮した更新計画を立てるべきです。

フッ素系泡消火薬剤の継続使用におけるコンプライアンス

規制対象となったPFASを含有する消火剤を保有し続けることは、企業のESG投資やSDGsへの取り組みを評価する上でマイナス要因となります。万が一、点検時の漏洩や火災時の放出が発生した場合、汚染除去や土壌改良に莫大な費用がかかる可能性も否定できません。

廃棄コストの増大と点検基準の変更への備え

規制対象の薬剤は「特別管理産業廃棄物」としての処理が求められるケースがあり、一般的な廃棄物よりも処分費用が高騰する傾向にあります。将来的に規制がさらに厳格化されれば、廃棄コストが跳ね上がる前に「フッ素フリー」への入れ替えを完了させることが、賢明なリスクマネジメントといえます。

設計担当者が押さえるべき「フッ素フリー(PFASフリー)」選定のメリット

新規設計やリニューアルの際、PFASを含まない薬剤を選択することは、単なる法令遵守以上の価値を建物にもたらします。

環境配慮型設計による企業のSDGs・BCP対応の強化

環境への悪影響を最小限に抑える設計は、企業のブランド価値を高めます。また、消火後の清掃や復旧作業において有害物質の残留を心配する必要がないため、事故後の事業継続(BCP)の観点からも大きなアドバンテージとなります。

総務大臣承認品・大臣認定品を選択すべき理由

消火設備は、その性能が公的に証明されていることが前提です。総務大臣による型式承認を受けた製品であれば、法的な適合性が担保されているため、消防検査もスムーズに通過します。信頼性の高い承認品を選ぶことは、設計ミスを防ぎ、施主に対する説明責任を果たす上で不可欠な要素です。

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OF1(ゼロフッソワン)フォーム310 の消火試験
引用元:ヤマトプロテック公式HP(https://www.yamatoprotec.co.jp/news/n251216/)

環境と消火性能を両立した「ゼロフッソワン」の特長

ヤマトプロテックが開発した「OF1(ゼロフッソワン)フォーム310」は、世界的に規制が進むPFAS(有機フッ素化合物)を一切含まない、次世代の「ゼロフッ素合成界面活性剤泡消火薬剤」です。

一般的に、フッ素を含まない消火薬剤は消火性能が低下しやすいという課題がありました。しかし、創業から100年以上にわたって消火剤開発を続けてきた同社の知見を結集することで、PFASフリーでありながら従来品と同等の高い消火性能を実現。2025年12月には総務大臣による型式承認を取得し、法的基準に適合した製品として正式にリリースされました。

その優れた環境配慮設計と革新的な性能は高く評価され、「2025年度グッドデザイン賞」を受賞するなど、次世代の防災スタンダードとして注目を集めています。

PFAS規制への完全対応を実現する、次世代の泡消火薬剤

今後の大きなメリットとして、駐車場に設置されている既存の泡消火設備の構成機器を活かしたまま、本薬剤への切替が可能になる見込みです。これにより、環境リスクを排除しつつ、改修コストを最小限に抑えたアップデートが可能になります。

また、ヤマトプロテックは原液タンクから流水検知装置、一斉開放弁、フォームヘッドに至るまで、自社グループで一貫した生産体制を構築しています。製品の供給から施工、メンテナンスまでトータルでサポートできる体制は、設計担当者やビルオーナーにとって大きな安心材料といえます。今後は本薬剤を採用した特定駐車場用泡消火設備の製品化も予定されており、さらなる展開が期待されています。

ヤマトプロテックの企業情報

企業名 ヤマトプロテック株式会社
創業 1918(大正7)年 1月17日
所在地 東京都港区白金台5-17-2(東京本社)
事業内容 消火装置・火災警報装置等の設計、施工監理、維持管理、製造、販売など
公式HP https://www.yamatoprotec.co.jp/
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通信機器室や電気管理室など、消火に伴う機器汚損を最小限に抑える必要のある場所へのガス系消火設備導入実績を1,336件持っています。

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※ 2001~2024年での実績となります。参照元:ヤマトプロテック公式HP(https://www.yamatoprotec.co.jp/case6/
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