航空機格納庫は、機能性と安全性の両立が求められる施設です。消防設備は安全性に深く関わるため、導入する設備や配置は慎重な検討が必要です。ここでは、航空機格納庫の消防設備の設計ポイントや設計事例をご紹介します。
航空機格納庫の消防設備は、そこで働く人々の無事を確保し、航空機などの財産を守る役割を担っています。設計に問題があると人々の命が脅かされ、航空機を損失することにつながりかねません。
高い安全性と財産確保のためには、規模に合わせた適切な消防設備の設置が求められます。
人々が無事に逃げられるように、火災に備えた避難経路の確保も必要です。通路誘導灯・避難口誘導灯の配置はもちろん、必要に応じた避難器具の設置も検討が求められます。
航空機格納庫における消防設備設計では、航空燃料火災に対応した消火設備を導入する必要があります。航空燃料は水による消火が困難なため、格納庫内には泡または粉末消火設備を設置するのが一般的です。
場所によっては不活性ガス消火設備や、スプリンクラーなど水を噴霧する設備も設置できますが、床面積などの条件に注意が必要になってきます。
航空燃料による火災は、煙や有害ガスを発生させることがあります。格納庫は密閉性が高いため、煙などを速やかに外部へ排出する換気システムは必須といえるでしょう。
しかし、火災時には停電が発生し、電力が使えなくなるリスクがあります。換気システムを導入する際は、災害などの非常時に稼働できる外部電源も設置が求められます。
航空機格納庫は、地震によって格納庫が倒壊したり、強風で一部が飛ばされたりするリスクがあります。消防設備においては、大規模な自然災害を考慮した設計が必要です。格納庫に耐震化を施し、耐風圧性を高めた構造設計が求められます。
また、消防設備も被災リスクを減らすために、耐震・耐風設計とすることが大切です。
消防設備は、データセンターや工場、福祉施設、商業施設、オフィスビルなど、多様な施設に欠かせません。 施設ごとに必要な消防設備の設計ポイントが異なるため、万が一の際に適切な消防対応ができるよう、施設特性に合った消防設備を設計できるメーカー選びが重要です。
本サイトでは、各施設に適した消防設備の設計を依頼できるおすすめメーカーを紹介しています。ぜひ参考にしてください。
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2009年に竣工したANA東京新第二号格納庫への消防設備導入事例です。 大型機3機を同時に収容できる広大な空間でも迅速な消火を実現するために、粉末モニターノズル消火設備を導入。大量の粉末消火薬剤を放射できるだけでなく、放射距離が長いため、安全な場所から効果的に消火活動を行うことが可能です。また、万が一の火災時には、遠隔操作によって制御ができます。
ANA東京新第二号格納庫は、2009年に竣工したANAの主力整備施設です。大型機を最大3機同時に収容できるよう、間口195m × 奥行90m × 高さ27m(約17,550㎡)の大規模な一室空間を確保。フラットで障害物の少ない広大な整備スペースが特徴です。
広大な空間では、通常の散水設備だけでは火点への初期消火が困難なため、ヤマトプロテック製の粉末モニターノズル消火設備(YNL-2X)を採用。長射程・大量放射が可能で、安全な場所から航空機周辺の火点を正確に狙える構成です。
粉末モニターノズル、粉末薬剤タンク、制御盤を中心に構成され、遠隔操作で粉末薬剤を一気に放射できる仕組みになっています。公式情報では本数やポンプ容量の詳細は非公開ですが、17,000㎡級の空間をカバーするため複数ノズル+大容量タンクの仕様と推測できます。
航空機格納庫は、消防法上の特殊用途として扱われ、以下の条文が代表的に適用されます。
・水噴霧・泡・二酸化炭素消火設備:消防法施行令 第13〜18条
・自動火災報知設備:消防法施行令 第20条
・消火器:令第10条/規則第6条
・大型消火器:規則第7条
ANA東京新第二号格納庫も、これらの条文を前提に審査・協議が行われた設計と考えられます。
公式サイトでは詳細は非公開ですが、一般的には以下のような運用が想定されます。
・自動火災報知設備の信号 → 対象ゾーンのモニターノズルを選択
・制御盤による遠隔起動 → 粉末薬剤を一気に放射
・必要に応じて複数ノズルを連動させる構成
航空燃料火災は初期対応が遅れると一気に延焼拡大するため、「遠隔制御での即時放射」が重視されています。
格納庫の消防設備は、面積・ノズル数・薬剤容量などに応じて個別設計のため、公式の金額公開はなし。一般的には、航空機格納庫のような大規模施設では、粉末設備・泡設備・自動火災報知設備を合わせて数千万円〜数億円規模となるケースが多い領域です(※あくまで設備業界の一般傾向)。
ANA東京新第二号格納庫は、航空燃料火災に対応するために粉末モニターノズルを中心とした防災システムを採用した好例です。広大な空間をカバーできる射程・遠隔制御・大容量薬剤タンクといった特徴が、航空機格納庫の用途特性に適合した設計となっています。

ヤマトプロテックでは、消火活動が困難になる可能性がある航空機格納庫向けの防災システムを提供。防護対象物に対し有効に消火薬剤の放射が行えるよう、対象物に適した設計や配管を行っていく点がポイントです。また、消火薬剤を大量に貯蔵できるタンクも自社生産しています。格納庫向けの主な消防用設備としては、粉末消火設備や泡消火設備、消火器、自動火災報知設備などが挙げられますが、条件によっては他の設備を取り入れることもあります。
消防設備設計において、コストと安全性の両立が課題となる場合があります。これらを両立させるには、無駄な消防設備を省いた設計にすることが大切です。格納庫に求められる消防設備の種類と個数をリストアップしてみましょう。
消防設備は、航空機のメンテナンス性にも配慮した設計が求められます。整備に使用する設備と干渉した場合、火災発生時の消火や避難誘導に影響が及ぶ可能性も否定できません。消防設備は、整備用設備との干渉を避けるように配置することが大切です。
外部に消防設備の設計を依頼する際は、航空機格納庫の設計実績を確認しておきましょう。航空機格納庫は構造が複雑で、消防設備の設計には高度な知識と法令への理解が求められます。
法令に適合するためには、知見豊かな設計会社へ依頼することが大切です。
航空機格納庫における消防設備は、人々の安全確保と航空機の保護に関わります。一方、火災が大規模化するリスクもあるため、格納庫の規模に合わせた消防設備の設置が求められます。
たとえば、航空燃料火災に対応できる消火設備や、有害ガスを排出する換気システムが必要です。また、地震や風害への備えも求められます。設計を外部に依頼する際は、航空機格納庫の知見豊かな設計会社を選びましょう。

24時間稼働が求められるデータセンターや工場・物流施設には、消火時の機器汚損が少ない窒素ガス設備を導入。PFASを一切含まない次世代型泡消火薬剤を独自に開発し、総務大臣による型式承認も取得。汚損による運用停止のリスクを防止。
通信機器室や電気管理室など、消火に伴う機器汚損を最小限に抑える必要のある場所へのガス系消火設備導入実績を1,336件※持っています。

高齢者や体が不自由な方の退避時間確保のため、火災の拡大を遅らせることに注力した医療・福祉施設向けのパッケージシステムの提案が可能。夜間などの少人数体制でも、火災拡大を最小限に食い止めます。
さらに、火災発生地点や避難経路を瞬時に把握できる独自のクラウド型防災システムで、迅速な避難誘導を実現。スタッフの心理的負担を軽減し、施設全体の安全性を高めることができます。

ユニバーサルデザインの追求はもちろん、物件ごとのコンセプトや内装デザインに合わせた消火栓の完全オーダーメイドに対応している初田製作所。
美観を向上させる極細枠の採用や、壁面と同じクロス貼り・ガラス貼り・木目仕上げなど、周囲の素材に合わせた自由なカスタマイズが可能。建築デザインの意図を汲み取りながら、高い視認性と機能性を両立した消防設備設計を実現します。